こんにちは、道洋行東京支店Web制作スタッフのT.Y.です。
前回はWebアクセシビリティ達成基準「2.1.2 キーボードトラップなしの達成基準」について解説しました。続けて今回は「2.2.1 タイミング調整可能の達成基準」への対応について解説します。
Webサイトを閲覧する際、「時間」によって操作が制限されるケースは意外と多く存在します。一定時間で自動ログアウトするフォーム、カウントダウン後に切り替わる画面、時間制限付きの入力画面などです。こうした時間制限が、すべてのユーザーにとって適切とは限りません。
もくじ
達成基準「2.2.1 タイミング調整可能(Timing Adjustable)」は、時間制限があるコンテンツに対し、ユーザーがその制限を調整・延長・無効化できることを求める基準です。
対象となるのは、例えば次のようなケースです。
これらの機能は、セキュリティや利便性の観点では有効ですが、操作に時間がかかるユーザーにとっては大きな障壁になり得ます。
時間制限があると、次のようなユーザーが不利益を受ける可能性があります。
Webアクセシビリティ対応では、「平均的な操作速度」を前提に設計するのではなく、多様な利用者を想定することが重要です。
WCAG 2.1では、時間制限がある場合、以下のいずれかを満たすことが求められます。
特に実務で重要なのは「終了前に警告し、延長できる」という要件です。例えば、セッションが切れる1分前にポップアップで通知し、「延長する」ボタンを設けるなどの実装が該当します。
すべての時間制限が対象になるわけではありません。例えば、リアルタイム性が本質であるコンテンツ(オンライン試験やライブオークションなど)は例外に該当する場合があります。
ただし、例外に該当するかどうかの判断は慎重に行う必要があります。「なんとなく必要そう」という理由で時間制限を設けるのは、アクセシビリティの観点では適切ではありません。
行政サイトや会員制サイトでは、セキュリティ上の理由から一定時間で自動ログアウトする仕組みを導入しているケースが多くあります。
この場合の対応としては、
といった実装が現実的です。
特に公共性の高いWebサイトでは、セキュリティとWebアクセシビリティのバランスを取りながら設計することが求められます。
トップページのメインビジュアルなどで自動スライドを採用しているケースも多いですが、これも広義の時間依存コンテンツに該当します。
対応としては、
などが挙げられます。
デザイン性を優先するあまり、ユーザーが内容を読み切れないまま切り替わってしまう構成は避けるべきです。
時間制御は多くの場合JavaScriptで実装されます。その際に注意すべきポイントは以下です。
単に「警告を表示する」だけでなく、支援技術を利用するユーザーにも確実に伝わる設計が必要です。
WordPressなどのCMSを利用している場合、プラグインによっては自動ログアウトやセッション管理機能がデフォルトで設定されていることがあります。
その場合は、
といった対応が考えられます。
アクセシビリティは「デザインだけの問題」ではなく、CMS設定やサーバー設定も含めた総合的な設計課題です。
「2.2.1 タイミング調整可能の達成基準」は、時間という目に見えない制約に対して配慮するための基準です。
これらを丁寧に積み上げることが、真のWebアクセシビリティ対応につながります。
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