これまで色々と紹介してきた「HTMLタグ」ですが、その中には時代の変化に伴い不要となり、消えていってしまったものもあるのです。
今の時代、テキストや画像の装飾はCSSの分野ですが、以前はテキストの装飾もHTMLタグでやっていたのですね。
今回は番外編。
そんな「消えてしまったHTMLタグ」たちにスポットを当てて、どんな役割だったのか、なぜ姿を消したのかを紹介してみましょう。
もくじ
<blink>
タグかつて一世を風靡した装飾タグが <blink>
です。
指定したテキストを点滅させるというもので、主に注意を引きたい場面で使われました。
<blink>ここ重要!</blink>
ただし、ユーザーにとっては鬱陶しく感じられることが多く、視認性の観点からも不評でした。
画面内で発生する点滅…というと、今となっては悪質な広告バナーなどの印象の方が強くなってしまいましたね。
主要なブラウザでは1990年代後半からサポートが徐々に終了。正式にはHTML5で廃止されました。
<marquee>
こちらも印象深いタグのひとつ。
指定した文字列を横にスクロールさせる <marquee>
は、指定した範囲の中でテキストがループ回転するという、電車や新幹線の電光掲示板のような効果がありました。
<marquee>ようこそ!このサイトは更新されました!</marquee>
IEなどでは長く対応していましたが、W3Cの標準からは外れ、HTML5では非推奨となりました。
今ではJavaScriptやCSSで同様の効果を表現するのが一般的です。
<font>
フォントサイズや色を直接HTMLタグで指定できた <font>
タグも、かつては頻繁に使われていました。
<font size="16px" color="red">大事なメッセージ</font>
私も本当にHTML初心者の頃は、これで都度文字の色を変えたり、サイズを変えたりということをしていました。
ただ、そういう作り方をしていると、デザインに変更が発生したときすべてを手動で修正しなければならないんですよね。
スタイルと構造を分けるというWeb標準の考え方が広まっていったのもあり、CSSでの装飾指定に移行されました。HTML4では非推奨、HTML5では廃止扱いです。
<center>
要素を中央寄せにするために使われていた <center>
タグ。
今ではCSSで text-align: center;
を使えば済む話ですが、当時はこのタグが手っ取り早かったのです。
<center>この文章は中央寄せです</center>
こちらもHTML5では完全に廃止されています。
共通して言えるのは、「見た目の制御はHTMLではなくCSSで行うべき」という原則に従った結果です。
構造とスタイルを分離することで、HTMLは文書構造をもって意味を伝える、という役割に集中し、CSSが装飾を担当するという流れが主流となりました。
そのおかげで、Webサイトの保守性・可読性・アクセシビリティが向上し、デザインの自由度も広がったのでした。
これらのタグたちは、今の基準から見れば「使わない方がいいもの」と言えるでしょう。
でも、インターネットが一般に広がり始めた時代に、誰でも簡単に「動き」や「強調」を加えられる手段として活躍したのは間違いありません。
WEBの進化とともに消えていってしまったHTMLタグたちですが、逆に言うと今使っているタグも、10年後には消えているかも知れないのですよね。
ちょっとしんみりしてしまうような、HTML小話でした。
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