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Webアクセシビリティ達成基準「1.3.3 感覚的な特徴の達成基準」の話

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2025/10/15 | T.Y.

こんにちは、道洋行東京支店Web制作スタッフのT.Y.です。

前回はWebアクセシビリティ達成基準「1.3.2 意味のある順序の達成基」について解説しました。続けて今回は「1.3.3 感覚的な特徴の達成基準」への対応について解説します。

Webサイトを制作する際には、視覚や聴覚など、感覚に依存した情報が多く使われています。
しかし、そのままでは障害を持つユーザーにとって情報が正しく伝わらないことがあります。本記事では、「感覚的な特徴の達成基準」とは何か、どのように対応すべきかについて具体例を交えて紹介します。

「感覚的な特徴の達成基準」とは

定義の理解

「1.3.3 感覚的な特徴の達成基準」とは、色、形、位置、音などの感覚に基づく情報だけで情報を伝える場合、別の方法でも同じ情報を伝える必要がある、という基準です。
つまり、視覚障害者や色覚異常者、聴覚障害者にとっても情報が正しく理解できるように配慮することを求めています。

具体的な例

  • 色だけで区別する
    エラーメッセージを赤字で表示している場合、色だけに頼らず、文字やアイコンでもエラーを示す
  • 形や位置だけに依存する
    「左上のボタンを押してください」と指示する場合、テキストやラベルでも操作対象を明示する
  • 音だけで通知する
    アラート音でのみ通知している場合、テキストメッセージも併記する

このように「感覚的な特徴」に依存した情報は、必ず別の手段で伝達可能にすることが重要です。

Web制作における対応方法

色の使い方に注意

色だけで意味を伝えることは避けましょう。例えばフォームの必須項目を赤字で示す場合、文字列やアイコンで「必須」と明示するのが効果的です。

  • 推奨対応例
    • 赤字+「必須」とテキストで表示
    • 赤丸アイコン+「入力必須」と説明

色覚異常のユーザーも情報を見逃さず、誤入力を減らすことができます。

アイコンや図形の補助

形や位置だけで情報を伝える場合も、必ず文字で説明を加えましょう。

  • 例1:ボタンの機能
    「ダウンロード」アイコンだけでは何をするか分かりにくいので、テキストで「資料ダウンロード」と表示
  • 例2:ナビゲーションの位置
    「左側メニュー」だけで指示せず、「ホームメニューからアクセス可能」と補足

このように視覚情報を補助することで、誰でも操作しやすいUIになります。

音声情報の補助

アラート音や通知音のみで情報を伝える場合は、必ずテキストやビジュアルでの補足が必要です。

  • 例:チャットの新着メッセージ通知
    音+画面上にポップアップ表示
  • 例:フォームの送信成功メッセージ
    音声+画面に「送信が完了しました」と表示

聴覚障害者だけでなく、音を聞けない環境にいるユーザーも情報を受け取れるようになります。

3. 実装上のポイント

HTMLでの対応

  • 色や形だけで情報を伝えない
  • ARIA属性やラベルを活用して情報を補足
  • テキストで説明を追加

例えば、必須項目に aria-required="true" を付与したり、ボタンに aria-label で説明を加える方法があります。

CSSでの工夫

  • 色だけで強調せず、フォントサイズや太字で補助
  • アイコンにテキストを併記
  • ホバーやフォーカスで補足情報を表示

これにより、感覚的な特徴に依存せず、誰でも情報が正しく認識できます。

JavaScriptでの補助

  • 音声通知にテキスト表示を連動
  • ダイナミックに追加される情報も、スクリーンリーダーで読み上げ可能にする
  • アニメーションや動きで情報を示す場合も、テキストやARIA属性で補足

注意すべきポイントと落とし穴

色のコントラストだけに頼らない

色の違いだけで情報を伝えると、色覚異常のユーザーは内容を見落とします。必ず文字や形で補助することが重要です。

形や位置の意味を限定しない

「左上のボタン」「三角マーク」など、位置や形に依存する情報は、環境によっては認識できません。テキストで意味を補足しましょう。

音だけで伝えない

環境によっては音が聞こえないこともあります。通知やエラーは必ず画面上のテキストやアイコンで補完することが求められます。

まとめ:感覚的な特徴の達成基準対応の意義

Webアクセシビリティの「1.3.3 感覚的な特徴の達成基準」は、障害の有無に関わらず、すべてのユーザーに情報を正しく伝えるための指針です。
ポイントを整理すると以下の通りです。

  • 色だけで情報を伝えない
  • 形や位置だけで情報を伝えない
  • 音だけで情報を伝えない
  • HTML、CSS、JavaScriptで補助情報を提供する

これらの対応により、ユーザー体験(UX)が向上し、サイトの信頼性や使いやすさが格段に高まります。また、企業や行政のWebサイトにおいては、法令遵守や社会的責任の観点でも重要です。

Web制作においては、デザインや見た目の美しさだけでなく、アクセシビリティを考慮することが求められます。感覚的な特徴に依存した情報を補完することで、誰でも使いやすいサイトを実現できます。

当社サービスに関するご相談・お見積もりなど、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の執筆者
T.Y.

2011年に道洋行東京支店へ入社。Webチームに所属し、デザイナーとして多くのWebサイト制作に携わる。ユーザー視点を重視したデザインと、アクセシビリティに配慮したサイト設計を強みとし、企業や行政機関向けのプロジェクトを多数手掛ける。
最新のデザイン動向やUI/UXに関する知見を活かし、ユーザーに価値のある情報を提供。Web制作のご相談やお問い合わせは、お気軽にどうぞ。