こんにちは、道洋行東京支店Web制作スタッフのT.Y.です。
前回はWebアクセシビリティ達成基準「1.2.3 音声解説、またはメディアに対する代替(収録済)」について解説しました。続けて今回は「1.2.4 キャプション(ライブ)の達成基準」への対応について解説します。
キャプションと言えば、「1.2.2 キャプション(収録済み)」で記事にしました。
「1.2.2 キャプション(収録済み)」は、あらかじめ録画された音声コンテンツに対して、同期したキャプション(字幕)を提供することを求める達成基準でした。それに対して「1.2.4 キャプション(ライブ)」は、ライブ配信などリアルタイムの音声コンテンツに対して、できる限りリアルタイムでキャプションを提供することを求める達成基準です。
つまり、収録済みかライブかで適用される基準が異なります。
もくじ
WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)2.0/2.1における「1.2.4 キャプション(ライブ)」は、レベルAAの達成基準であり、ライブ音声コンテンツにリアルタイムで字幕を付けることを求めています。
従来のオンデマンド動画とは異なり、「リアルタイムで進む音声」への対応がポイントです。ライブセミナー、オンライン会議、SNS配信などが対象となり、誰もがリアルタイムで参加できる環境整備が求められています。
ライブ配信では、聴覚障害や難聴を持つ方がリアルタイムで内容を把握できることが不可欠です。テキスト資料やスライドだけでは伝わりにくい場面もあるため、字幕があることで参加しやすさがぐんと向上します。
移動中や公共の場、音が出せない環境では音声が聞き取りづらくなりますが、字幕があれば安心。情報格差を生まない配信として、視聴体験全体の質が高まります。
行政機関など公的な情報発信では、「誰も排除しない情報提供」が求められます。ライブ配信で字幕を提供する姿勢は、包括性を示す明確なメッセージとなります。
最近では、自動音声認識(ASR)によるリアルタイム字幕が広く使えるようになっています。
これらのツールを使えば、特別な開発なしで字幕表示が実現できます。
ただ、自動字幕には以下のような課題もあります。
そのため、可能であれば用語辞書の追加、モデレータによる手動チェックなどを組み合わせると、より正確になります。
重要なライブ配信では、プロの文字起こしオペレーターによるリアルタイム字幕提供も考えられます。
信頼性と品質を重視する場合、こうしたサービスの導入が安心です。
自動字幕ではタイムラグがつきものですが、配信後にアーカイブ動画に修正版字幕(SRT)を再付与することでずれを解消できます。
小規模のライブ配信では人員が限られがちですが、次のような工夫が有効です。
以下の項目を事前に確認しておくと、当日のトラブルをぐっと減らせます:
ライブ配信やオンライン会議が増える現代において、「話す情報をリアルタイムで届ける」ためのアクセシビリティは欠かせません。ライブイベントでの字幕対応は安心・信頼を与える重要ポイントです。
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