こんにちは、道洋行東京支店Web制作スタッフのT.Y.です。
前回はWebアクセシビリティ達成基準「1.1.1 非テキストコンテンツ」について解説しました。
続いて今回は1.2.1の「音声だけ・映像だけ(収録済み)」についてご紹介します。このルールは、意外と見落とされがちな領域ですが、実はとても重要なポイントです。
本記事では、中小企業の経営者や行政のWeb担当者の皆さまに向けて、1.2.1の達成基準の内容や対策方法、そして実装に必要な知識について、わかりやすくお伝えします。
もくじ
この達成基準は、収録済みの音声だけ、または映像だけのコンテンツに対し、「代替手段」を提供することを求めるルールです。
対象は主に以下のようなメディアコンテンツです:
たとえば、音声だけのコンテンツでは、聴覚に障害のある方には意味が伝わりません。逆に、ナレーションのない映像がWebサイト上で再生されているだけでは、視覚障害のある方には何が起きているかが伝わりません。
この基準は、情報の「取りこぼし」を防ぐために不可欠です。Webサイトは、情報発信の手段であると同時に、企業や自治体の信頼感を築く場でもあります。
たとえば、視覚に制限があるユーザーが「映像だけ」のページにアクセスしても、情報が全く得られなければ、企業の印象が悪くなる可能性もあります。
音声だけの収録済みコンテンツには、書き起こしのテキスト(音声の代替テキスト)を提供する必要があります。
これは「テキストによる情報の補完」となり、聴覚障害のある方にも同じ情報が伝わるようになります。
<audio controls>
<source src="interview.mp3" type="audio/mpeg">
お使いのブラウザではaudioタグをサポートしていません。
</audio>
<p>この音声の内容は以下のとおりです:<br>
株式会社〇〇の代表インタビュー。テーマは中小企業のデジタル活用。...</p>
映像のみの場合は、映像で伝えたい内容をテキストで記述する必要があります。
これは単なる説明ではなく、「映像でどのようなアクションや情報が伝えられているか」を丁寧に文章化することが求められます。
<video controls>
<source src="promo.mp4" type="video/mp4">
お使いのブラウザではvideoタグをサポートしていません。
</video>
<p>この映像の内容:<br>
画面には製品の使用シーンが流れます。ユーザーが測定機器を操作し、数値を記録していく様子が映し出されます。...</p>
1.2.1の対象は、あくまで「音声だけ」または「映像だけ」のコンテンツです。
字幕の有無は別の達成基準(1.2.2 や 1.2.3など)に関係しますので、「音声だけ」に字幕がない状態はNGとされます。
1.2.1では、「収録済みのコンテンツ」が対象です。つまり、リアルタイムのライブ配信は対象になりません。ただし、アーカイブで再掲載する場合は、収録済み扱いになります。
テキストで代替情報を提供することは、SEO対策としても有効です。
Googleなどの検索エンジンは、音声や映像よりもテキストを優先的に評価するため、自然と検索順位の改善にもつながります。
アクセシビリティに配慮したサイトは、「誰でも使えるサイト」という安心感をユーザーに与えます。とくに公共性が求められる行政サイトでは、信頼構築の土台になります。
現在、一部の補助金や助成金の申請において「アクセシビリティへの配慮」が条件となるケースがあります。
対応しておくことで、申請時の評価が高まる可能性もあります。
Webアクセシビリティの達成基準「1.2.1 音声だけ及び映像だけ(収録済み)」は、一見マニアックに思えるかもしれませんが、実際のユーザー体験に直結する非常に重要なルールです。
中小企業や行政機関にとって、アクセシビリティの取り組みは、情報発信の質と信頼性を高めるための投資です。
Web制作会社としての技術力や知識が問われる分野でもあります。
これからの時代、誰もが使いやすいWebを目指して、一緒により良いサイトづくりを進めていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
当社サービスに関するご相談・お見積もりなど、お気軽にお問い合わせください。